• ペパーミント(セイヨウハッカ)
  • ペパーミント(セイヨウハッカ)

ペパーミント(セイヨウハッカ)

  • 学名
    Mentha piperita
  • 科目
    シソ科
  • 主な産地
    ヨーロッパなど

植物の特徴

ペパーミントは、シソ科の多年草で、高さが10cm程度まで育ちます。花は、薄紫色を帯びたピンク色の花をつけ、葉は丈夫な濃い緑色の茎と鋸葉状の緑色の葉をもちます。ミント属は変異を非常に起こしやすく、葉の色あいや芳香が異なる多くの品種が存在しますが、大きく以下の3種に分けることができます。①Black mintM. piperita var. vulgaris Sole)、②White mitchamM. piperita var. officinalis Sole)、植物学上の基本となる③M. piperita L. はウォーターミントとスペアミントの自然交配から発生した種といわれています。学名の「piperita」は「コショウのような」という意味を持ち、ほかのミントに比べて飛びぬけた刺激があります。ヨーロッパで広く栽培されています。

精油の構成成分

ペパーミント
  • ペパーミント

  • 全成分名称
    セイヨウハッカ油
  • INCI
    Mentha Piperita (Peppermint) Oil
  • 使用部位
    全草
  • 抽出方法
    水蒸気蒸留法
  • 採油率
    0.3%
  • ノート
    トップ
  • 香りの系統
    ハーバル

ペパーミント 精油の特徴

地上部から水蒸気蒸留によって得られる精油は0.3%前後で、無色~淡黄色を帯びた色をしています。鎮痛、冷却作用などで知られるメントールが主要成分で、香りはシャープな清涼感のある爽やかなミントの香りで、ガムやキャンディで想像できるようなスッキリとした香りですが、くっきりとした爽快感の後には甘みがふわりと浮き出てきます。シトラス、ハーバル、フローラル、ウッディの精油と合わせると好相性です。香りが強いので、ブレンドの際はあまり入れすぎないようにバランスをみながら入れていくことがおすすめです。

精油の構成成分

精油の構成成分

※ロット分析データの一例を記載

  • Menthol 37.1%
  • Menthone 25.9%
  • iso-Menthone 9.7%
  • neo-Menthol 6.6%
  • Menthyl acetate 3.9%
  • Limonene 3.0%
  • Pulegone 1.3%
  • iso-Pulegol 1.2%
  • other components 11.3%

構成成分の効果・効能・作用

リモネン

Limonene

リモネン
  • IUPAC名
    1-methyl-4-prop-1-en-2-ylcyclohexene
  • 分子式
    C10H16
  • 分子量
    136.23 g/mol
  • CAS No.
    138-86-3
  • 分類
    単環式モノテルペン

リモネンの効果・効能・作用

in slico in vitro ex vivo in vivo
Non-clinical Clinical
Mice Rats Guinea Pigs Insects Human
Stress Reduction
Memory Improvement
Anti-cancer Effects

ストレス軽減 (Stress Reduction)

4℃環境下で寒冷ストレスを与えたマウスにおいて、リモネン投与群の血中コルチコステロン(ストレスに応答するホルモン)濃度の上昇が抑制されたことが報告されました。また、物理的ストレスと精神的ストレスを与えたマウスにおいて、リモネン投与群の血中コルチコステロン濃度が抑制されたことが同報告にて示されました。1)

記憶・学習 (Memory Improvement)

リン酸緩衝生理食塩水中でアセチルコリンエステラーゼをアセチルチオコリンと反応させる際に、リモネンを加えることでアセチルコリンエステラーゼによる分解が抑制されることが報告されました。アセチルコリンエステラーゼは記憶や学習に関与するホルモンであるアセチルコリンを分解してしまうため、分解を止めることにより記憶障害などを防げる可能性があります。また同報告において、スコポラミン投与によるラットの記憶障害が抑制されたことも報告されました。2)

抗癌 (Anti-cancer Effects)

乳癌患者のリモネン摂取により、細胞分裂に関わるタンパク質であるCyclin D1の腫瘍における発現量が低下したことが報告されました。3)その他、リモネンの抗癌作用に関して複数の報告があります。4)5)

  • 1)Fukumoto et al., Stress and Health, 2008
  • 2)Zhou et al., Nutritional Neuroscience,, 2013
  • 3)Miller et al., Cancer Prevntion Research, 2013
  • 4)Ajikumaran Nair S et al., Phytomedicine, 2018
  • 5)Chaudhary et al., Human & Experimental Toxicology, 2012

IFRA規制

ペパーミント:
規制なし

※構成成分の規制は、成分の一部を記載

参考文献
ジェニー・ハーディング,精油・植物油ハンドブック,東京堂出版,2010.
大槻真一郎/尾崎由紀子,ハーブ学名語源事典,東京堂出版,2009.
ジェニー・ハーディング,ハーブ図鑑,産調出版,2012.
フレディ・ゴズラン/グザビエ・フェルナンデス,調香師が語る香料植物の図鑑,原書房,2013.
三上杏平,エッセンシャルオイル総覧 改訂版,フレグランスジャーナル社,2010.
小倉謙,植物の事典 ,東京堂出版,昭和32年.
大橋信夫,メディカルハーブの事典 ,東京堂出版,2016年.
ワンダ・セラー, アロマテラピーのための84の精油, フレグランスジャーナル社,1992.
日本アロマ環境協会, AEAJアロマテラピー検定 公式テキスト1級・2級,世界文化社,1999.
ロバート・ティスランド/ロドニー・ヤング, 精油の安全性ガイド, フレグランスジャーナル社, 2018.
バーグ文子, アロマテラピー精油辞典, 成美堂出版, 2022.
アネルズあづさ, 香りを楽しむ 特徴がわかる アロマ図鑑, ナツメ社, 2023.
協力
山本香料株式会社