• ジャスミン(アラビアンジャスミン、マツリカ)
  • ジャスミン(アラビアンジャスミン、マツリカ)

ジャスミン(アラビアンジャスミン、マツリカ)

  • 学名
    Jasminum sambac
  • 科目
    モクセイ科
  • 主な産地
    中国、インド、東南アジアなど

植物の特徴

ジャスミンは、モクセイ科の小灌木です。葉は常緑で、花は、夏季に夕方から夜にかけて、濃厚な香りを持つやや肉厚な小さな白い花をひらきます。「ジャスミン」の由来は、ペルシャ語の「神様からの贈り物」を意味する単語から由来するといわれています。フィリピン、インドネシアの国花に制定されており、古くからこの国々では結婚式や客人の歓迎に使用され、そのほかの国でも宗教的な儀式や瞑想などに使われる重要な花です。また中国ではジャスミン茶の香り付けに使われています。ジャスミンには種類が多く、別の品種としてはJasminum officinalisといった品種もありますが、世界各地で栽培されていた200種類以上の品種の中から精油を採ることができるのはほんの一部の品種です。

精油の構成成分

ジャスミン
  • ジャスミン

  • 全成分名称
    マツリカ花油
  • INCI
    JASMINUM SAMBAC (JASMINE) FLOWER OIL
  • 使用部位
  • 抽出方法
    溶剤抽出法
  • 採油率
    0.15%
  • ノート
    ミドル~ベース
  • 香りの系統
    フローラル

ジャスミン 精油の特徴

花から溶剤抽出によって得られる精油は0.15%前後で、赤褐色を帯びた色をしています。気分を高揚させる効果で知られる酢酸ベンジルやα-ファルネセンが主な成分で、香りは濃厚で華やかなフローラルな香りに、果実とグリーン調を感じさせる爽やかさを感じます。上品な明るさの中に優しさのある印象です。シトラスや甘みのある香りと特に相性がよく、オレンジスイートやベルガモット、ネロリやクロモジ、ベチバーといった精油はよく合います。香りは強いため、ブレンドの際には少しずつ加えることで、穏やかに香り、バランスの取れた香りに仕上げることができます。

精油の構成成分

精油の構成成分

※ロット分析データの一例を記載

  • α-Farnesene 15.0%
  • Benzyl acetate 11.1%
  • Benzyl alcohol 8.9%
  • Linalool 8.6%
  • Methyl anthranilate 6.2%
  • cis-3-Hexenyl benzoate 5.6%
  • Methyl linolenate 3.7%
  • Indole 2.2%
  • Phenylacetonitrile 2.0%
  • Geranyl linalool 1.8%
  • cis-3-Hexenyl acetate 1.4%
  • β-Phenylethyl alcohol 1.3%
  • δ-Cadinene 1.1%
  • Nerolidol 1.0%
  • other components 22.1%

構成成分の効果・効能・作用

リナロール

Linalool

リナロール
  • IUPAC名
    3,7-Dimethylocta-1,6-dien-3-ol
  • 分子式
    C10H18O
  • 分子量
    154.25 g/mol
  • CAS No.
    78-70-6
  • 分類
    モノテルペンアルコール

リナロールの効果・効能・作用

in slico in vitro ex vivo in vivo
Non-clinical Clinical
Mice Rats Guinea Pigs Insects Human
Anti-inflammatory Effects
Stress Reduction
Anti-oxidant Effects

抗炎症 (Anti-inflammatory Effects)

カラギーナン投与により引き起こされたラットの後肢浮腫がリナロール投与により軽減されることが報告されました。1)

ストレス軽減 (Stress Reduction)

光ストレス下でマウスが暗室へ逃げ込むまでの時間がリナロール投与群において長くなったことや、閉鎖空間内での他個体への攻撃回数と時間がリナロール供与群では減少したことなどが報告されました。2)マウスのストレス応答時の視床下部における遺伝子発現変化が、リナロール吸入により回復することが報告されました。3)その他、リナロールのストレス軽減効果について複数の報告があります。4)5)6)

抗酸化 (Anti-oxidant Effects)

ヒト皮膚線維芽細胞への紫外線照射による活性酸素種(ROS)の発生がリナロール添加により抑制されたことが報告されました。7)

  • 1)Peana et al., Phytomedicine, 2002
  • 2)Linck et al., Phytomedicine, 2010
  • 3)Yoshida et al., Neuroscience Letters, 2017
  • 4)Harada et al., Frontiers in Behavioral Neuroscience, 2018
  • 5)Souto-Maior et al., Pharmacology Biochemistry and Behavior, 2011
  • 6)Weston-Green et al., Frontiers in Scichiatry, 2021
  • 7)Gunaseelan et al., Plos One, 2017

IFRA規制

ジャスミン:
皮膚刺激や皮膚感作を生じる可能性があるため、最終製品中の配合制限があります。

ジャスミン

※構成成分の規制は、成分の一部を記載

ベンジルアルコール:
皮膚感作や全身毒性を生じる可能性があるため、最終製品での配合制限があります。

ベンジルアルコール

※構成成分の規制は、成分の一部を記載

参考文献
ジェニー・ハーディング,精油・植物油ハンドブック,東京堂出版,2010.
大槻真一郎/尾崎由紀子,ハーブ学名語源事典,東京堂出版,2009.
ジェニー・ハーディング,ハーブ図鑑,産調出版,2012.
フレディ・ゴズラン/グザビエ・フェルナンデス,調香師が語る香料植物の図鑑,原書房,2013.
三上杏平,エッセンシャルオイル総覧 改訂版,フレグランスジャーナル社,2010.
小倉謙,植物の事典 ,東京堂出版,昭和32年.
大橋信夫,メディカルハーブの事典 ,東京堂出版,2016年.
ワンダ・セラー, アロマテラピーのための84の精油, フレグランスジャーナル社,1992.
日本アロマ環境協会, AEAJアロマテラピー検定 公式テキスト1級・2級,世界文化社,1999.
ロバート・ティスランド/ロドニー・ヤング, 精油の安全性ガイド, フレグランスジャーナル社, 2018.
バーグ文子, アロマテラピー精油辞典, 成美堂出版, 2022.
アネルズあづさ, 香りを楽しむ 特徴がわかる アロマ図鑑, ナツメ社, 2023.
International Fragrance Association, Jasmine absolute (sambac), 2020.
International Fragrance Association, Benzyl alcohol,2020.
協力
山本香料株式会社