• ミルラ(没薬)
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ミルラ(没薬)

  • 学名
    Commiphora myrrha
  • 科目
    カンラン科
  • 主な産地
    スーダン、オマーン、エチオピア、ソマリアなど

植物の特徴

ミルラは、カンラン科の鋭いトゲのある小灌木で、高さは4mほどまで育ちます。非常に乾燥した地帯を好み、幹は硬質で表面の樹皮は白~薄緑色をしています。この樹皮に傷がつくことで、粘性のある樹脂を産出します。この樹脂は、はじめは黄色ですが空気に触れると赤みがかったオレンジ色になり固まり、水分の蒸発を防ぎます。非常に成長の遅い種類であるため、樹脂が取れるようになるまで何百年もかかります。香料としての歴史は古く、ギリシャ神話や新約聖書、出エジプト記にも登場し、様々な言い伝えが残っています。また古代エジプトでは、老化防止や健康的な肌の維持にも用いられるほか、ミイラの防腐処理にも使用され、ミイラの語源ともいわれています。現在では東北アフリカのスーダン、オマーン、エチオピア、ソマリアなどに生息しています。

精油の構成成分

ミルラ
  • ミルラ

  • 全成分名称
    モツヤクジュ油
  • INCI
    Commiphora Myrrha Oil
  • 使用部位
    樹脂
  • 抽出方法
    水蒸気蒸留
  • 採油率
    6-8%(乾燥)
  • ノート
    ベース
  • 香りの系統
    レジン

ミルラ 精油の特徴

乾燥した樹脂から水蒸気蒸留によって得られた精油は6-8%前後で、淡黄褐色~黄緑褐色を帯びた色をしています。クルゼレン、フラノオイデスマ-1,3-ジエンが主な成分で、香りは深みのあるややドライな香りで、しっかりとした重さとスモーキーさを感じさせます。静寂を感じさせる神聖さと清らかさをもっています。イランイランやジャスミン、コリアンダーといった個性と強さのある香りとも相性が良いですが、よりミルラ本来の香りを活かすには、ニュートラルな強さを持ったローズマリーやローレル、ベルガモットやタイムといった香りも相性が良いです。香りはやや強く、ブレンドの際は少しずつバランスをみながら入れていくことがおすすめです。

精油の構成成分

精油の構成成分

※ロット分析データの一例を記載

  • Isofuranogermacrene 34.2%
  • Furanoeudesma-1,3-diene 22.7%
  • Elemene 8.8%
  • Lindestrene 7.4%
  • other components 26.8%

構成成分の効果・効能・作用

IFRA規制

ミルラ:
規制なし

※構成成分の規制は、成分の一部を記載

参考文献
ジェニー・ハーディング,精油・植物油ハンドブック,東京堂出版,2010.
大槻真一郎/尾崎由紀子,ハーブ学名語源事典,東京堂出版,2009.
ジェニー・ハーディング,ハーブ図鑑,産調出版,2012.
フレディ・ゴズラン/グザビエ・フェルナンデス,調香師が語る香料植物の図鑑,原書房,2013.
三上杏平,エッセンシャルオイル総覧 改訂版,フレグランスジャーナル社,2010.
小倉謙,植物の事典 ,東京堂出版,昭和32年.
大橋信夫,メディカルハーブの事典 ,東京堂出版,2016年.
ワンダ・セラー, アロマテラピーのための84の精油, フレグランスジャーナル社,1992.
日本アロマ環境協会, AEAJアロマテラピー検定 公式テキスト1級・2級,世界文化社,1999.
ロバート・ティスランド/ロドニー・ヤング, 精油の安全性ガイド, フレグランスジャーナル社, 2018.
バーグ文子, アロマテラピー精油辞典, 成美堂出版, 2022.
アネルズあづさ, 香りを楽しむ 特徴がわかる アロマ図鑑, ナツメ社, 2023.
協力
山本香料株式会社