• シャムアンソクコウノキ
  • シャムアンソクコウノキ

シャムアンソクコウノキ

  • 学名
    Styrax tonkinensis
  • 科目
    エゴノキ科
  • 主な産地
    インドシナ、タイ、インドネシア、ラオスなど

植物の特徴

アンソクコウノキは、エゴノキ科の高木で、高さ20mほどまで育ちます。樹幹に切り口をつけると、強い芳香をもった粘性のある赤茶色の樹脂、安息香(ベンゾイン)を産出します。古くから呼吸器のトラブルに使用されてきたといわれ、安息する効果があるとのことから「安息香」と名付けられたともされますが諸説あります。ベンゾインシャムと呼ばれるものは、砕けやすく、また大きさや色もまちまちなのが特長です、商品がシャムを経由して輸出されたことでこのように呼ばれるようになりました。商品グレードはいろいろで、高グレード品は香気が優れており、スマトラ産のベンゾインはグレードが5種類ほどあるといわれています。最高級品の“Almond”gradeは白色、またはクリーム色の砕けやすい塊で、非常に強い香りがするといわれており、グレードが落ちるほど色は黒褐色になるといわれています。

精油の構成成分

安息香(ベンゾイン)
  • 安息香(ベンゾイン)

  • 全成分名称
    シャムアンソクコウノキ樹脂エキス
  • INCI
    Styrax Tonkinensis Resin Extract
  • 使用部位
    樹脂
  • 抽出方法
    溶剤抽出法
  • 採油率
    98%
  • ノート
    ベース
  • 香りの系統
    レジン

安息香(ベンゾイン) 精油の特徴

樹脂から溶剤抽出によって得られる精油は98%前後で、褐色~橙褐色を帯びた色をしています。安息香酸、バニリンが主な成分で、香りはずっしりとした甘いバニラと蜜のような豊潤な香りに、レジン特有の樹脂っぽさを持ち合わせた、深みのある香りです。やや粘度のあるテクスチャーが特長です。爽やかなシトラス系のレモンやオレンジスイート、深い豊潤な香りを持つフローラルなイランイランやジャスミン、ローズといったしっかりとした強さを持つ精油とも相性が良いです。香りはニュートラルな強さですが、ブレンドの際は他の精油のバランスや、ベンゾインの香りを壊さないようにバランスをみながら入れていくことがおすすめです。

精油の構成成分

精油の構成成分

※ロット分析データの一例を記載

  • Benzoic acid 60.7%
  • Vanillin 8.2%
  • Benzyl benzoate 3.7%
  • other components 27.5%

構成成分の効果・効能・作用

IFRA規制

安息香酸ベンジル:
皮膚感作や全身毒性を生じる可能性があるため、最終製品での配合制限があります。

安息香酸ベンジル

※構成成分の規制は、成分の一部を記載

参考文献
ジェニー・ハーディング,精油・植物油ハンドブック,東京堂出版,2010.
大槻真一郎/尾崎由紀子,ハーブ学名語源事典,東京堂出版,2009.
ジェニー・ハーディング,ハーブ図鑑,産調出版,2012.
フレディ・ゴズラン/グザビエ・フェルナンデス,調香師が語る香料植物の図鑑,原書房,2013.
三上杏平,エッセンシャルオイル総覧 改訂版,フレグランスジャーナル社,2010.
小倉謙,植物の事典 ,東京堂出版,昭和32年.
大橋信夫,メディカルハーブの事典 ,東京堂出版,2016年.
ワンダ・セラー, アロマテラピーのための84の精油, フレグランスジャーナル社,1992.
日本アロマ環境協会, AEAJアロマテラピー検定 公式テキスト1級・2級,世界文化社,1999.
ロバート・ティスランド/ロドニー・ヤング, 精油の安全性ガイド, フレグランスジャーナル社, 2018.
バーグ文子, アロマテラピー精油辞典, 成美堂出版, 2022.
アネルズあづさ, 香りを楽しむ 特徴がわかる アロマ図鑑, ナツメ社, 2023.
International Fragrance Association, Benzyl benzoate, 2020
協力
山本香料株式会社