• クマル(トンカ)
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クマル(トンカ)

  • 学名
    Dipteryx odorata
  • 科目
    マメ科
  • 主な産地
    ベネズエラ、ブラジルなど

植物の特徴

クマルは、マメ科の樹木で、高さ30mほどに育ちます。葉は光沢のある深緑色で、互い違いの羽状複葉状になり、桃色の花が咲きます。クマルはフランス領ギアナの先住民の話す言語から来ているといわれており、別名「トンカ」とも呼ばれています。花が咲いた後できた果実から種子が採れ、それが「トンカビーンズ」です。トンカビーンズは、アーモンドやバニラを思わせる甘い香りで、スイーツなどの香りづけのフレーバーとしてよく使用されます。

精油の構成成分

トンカビーンズ
  • トンカビーンズ

  • 全成分名称
    ジプテリクスオドラタ豆エキス
  • INCI
    Dipteryx Odorata Bean Extract
  • 使用部位
    種子
  • 抽出方法
    溶剤抽出法
  • 採油率
    1%(乾燥)
  • ノート
    ベース
  • 香りの系統
    レジン

トンカビーンズ 精油の特徴

乾燥した種子から溶剤抽出によって得られる精油は1%前後で、褐色~橙褐色を帯びた色をしています。クマリンが主な成分で、この成分はよく桜餅のような香りと表現されることがあります。お菓子やデザートの香り付けにも使用されます。少し焦がしたような苦みと、深い温かみを感じる香りです。甘いバニラやアーモンドのような香り、と例えられることが多いです。パウダリーで、上品で洗練された印象も感じるこの香りは、フレグランスに使用されることもあります。
ブレンドの際は、ジャスミンやイランイランなどのオリエンタルな印象のフローラルな香りと合わせると濃密な香りに、シトラスと合わせると軽やかな印象の香りになります。

精油の構成成分

精油の構成成分

※ロット分析データの一例を記載

  • Coumarin 76.7%
  • Ethyl oleate 5.5%
  • Dihydrocoumarin 4.5%
  • Ethyl linoleate 2.2%
  • Ethyl palmitate 1.2%
  • Ethyl stearate 0.6%
  • 5-Hydroxymethylfurfural 0.2%
  • 2-Methoxy-4-vinylphenol 0.1%
  • other components 9%

構成成分の効果・効能・作用

IFRA規制

クマリン:
皮膚感作や全身毒性を生じる可能性があるため、最終製品での配合制限があります。

クマリン

※構成成分の規制は、成分の一部を記載

  • International Fragrance Association, Coumarin, 2020.
参考文献
ジェニー・ハーディング,精油・植物油ハンドブック,東京堂出版,2010.
大槻真一郎/尾崎由紀子,ハーブ学名語源事典,東京堂出版,2009.
ジェニー・ハーディング,ハーブ図鑑,産調出版,2012.
フレディ・ゴズラン/グザビエ・フェルナンデス,調香師が語る香料植物の図鑑,原書房,2013.
三上杏平,エッセンシャルオイル総覧 改訂版,フレグランスジャーナル社,2010.
小倉謙,植物の事典 ,東京堂出版,昭和32年.
大橋信夫,メディカルハーブの事典 ,東京堂出版,2016年.
ワンダ・セラー, アロマテラピーのための84の精油, フレグランスジャーナル社,1992.
日本アロマ環境協会, AEAJアロマテラピー検定 公式テキスト1級・2級,世界文化社,1999.
ロバート・ティスランド/ロドニー・ヤング, 精油の安全性ガイド, フレグランスジャーナル社, 2018.
バーグ文子, アロマテラピー精油辞典, 成美堂出版, 2022.
アネルズあづさ, 香りを楽しむ 特徴がわかる アロマ図鑑, ナツメ社, 2023.