• ユーカリシトリオドラ
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ユーカリシトリオドラ

  • 学名
    Corymbia citriodora
  • 科目
    フトモモ科
  • 主な産地
    中国、ブラジル、インド、グアテマラ、ケニアなど

植物の特徴

ユーカリシトリオドラは、フトモモ科の45m程に育つ樹木です。葉は、披針形のものが互い違いに生えています。この葉はユーカリの種類の中でも珍しく、薬のような香りではなくレモンのような香りを持っています。このことから、この植物は「レモンユーカリ」という別名を持っています。樹皮は白色や薄い灰色、または薄いコーラル色をしています。ユーカリのつぼみは良くおおわれていることから、ギリシャ語で「よく」を意味する「eu-」、「覆った」を意味する「kalyptós」から「よく覆われた」を由来としているといわれています。ユーカリは、非常に多くの種類があることでも知られているが、代表的な品種は、グロブルスという品種で「Blue Gum」という別名を持つものです。ユーカリの木は、非常に深くまで根をはり、成長も早いので、生命力がとても強い木です。オーストラリアの原産ですが、比較的育てやすいので、今では世界中で育てられています。

精油の構成成分

ユーカリシトリオドラ
  • ユーカリシトリオドラ

  • 全成分名称
    ユーカリシトリオドラ油
  • INCI
    EUCALYPTUS CITRIODORA OIL
  • 使用部位
  • 抽出方法
    水蒸気蒸留法
  • 採油率
    0.5%-0.7%
  • ノート
    トップ〜ミドル
  • 香りの系統
    ウッディ

ユーカリシトリオドラ 精油の特徴

葉から水蒸気蒸留によって得られる精油は0.5~0.7%前後で、薄黄色~黄色をしています。他のユーカリ種の精油に比べて採油量がやや低いです。「ユーカリプトール」とも呼ばれる1,8-シネオールが主な成分で、のど飴のようなスッとした清涼感のある香りです。虫除けに効果があると言われるシトロネロールが多く、これがレモン様の香りを特徴づけています。爽快感とほのかな甘さを持ち、クリーンな透明感を感じとても人気の高い精油です。レモン調のようなシトラス、ウッディといった精油と相性が良く、また甘さの強いイランイランなどの組み合わせもおすすめです。ニュートラルな香りですが、ブレンドのバランスをみて加えていくことがおすすめです。

精油の構成成分

精油の構成成分

※ロット分析データの一例を記載

  • Citronellal 70.9%
  • Citronellol 5.5%
  • Isopulegol 5.5%
  • iso-Pulegol 3.2%
  • 1,8-Cineole 1.2%
  • other components 13.8%

構成成分の効果・効能・作用

1,8-シネオール

1,8-Cineole

1,8-シネオール
  • IUPAC名
    1,3,3-trimethyl-2-oxabicyclo[2.2.2]octane
  • 分子式
    C15H26O
  • 分子量
    154.25 g/mol
  • CAS No.
    470-82-6
  • 分類
    単環式モノテルペンエーテル

1,8-シネオールの効果・効能・作用

in slico in vitro ex vivo in vivo
Non-clinical Clinical
Mice Rats Guinea Pigs Insects Human
Anti-inflammatory Effects
Deodorizing Effects
Anti-malaria Effects

抗炎症 (Anti-inflammatory Effects)

脚に炎症があるマウスで、1,8-シネオール投与群では炎症による腫れが濃度依存的に少なくなったことが報告されました。1)

消臭(Deodorizing Effects)

スカトールや3-メチルブタン酸などの代表的な異臭成分をそれぞれ1,8-シネオールとともに密閉容器内で静置すると異臭成分が顕著に減少したことが報告されました。2)

抗マラリア (Anti-inflammatory Effects)

1,8-シネオール添加によりマラリア感染赤血球の感染細胞が減少し、さらに細胞内でのマラリア原虫増殖抑制や、感染による脳浮腫も抑制されることが報告されました。3)

  • 1)Henmi et al., J. Japan Association on Odor Environment, 2020
  • 2)Yin et al., Br J Pharmacol., 2019
  • 3)Santos et al., plos one, 2022

IFRA規制

シトロネラール:
皮膚感作や全身毒性を生じる可能性があるため、最終製品での配合制限があります。

シトロネラール

※構成成分の規制は、成分の一部を記載

シトロネロール:
皮膚刺激や皮膚感作を生じる可能性があるため、最終製品中の配合制限があります。

シトロネロール

※構成成分の規制は、成分の一部を記載

参考文献
ジェニー・ハーディング,精油・植物油ハンドブック,東京堂出版,2010.
大槻真一郎/尾崎由紀子,ハーブ学名語源事典,東京堂出版,2009.
ジェニー・ハーディング,ハーブ図鑑,産調出版,2012.
フレディ・ゴズラン/グザビエ・フェルナンデス,調香師が語る香料植物の図鑑,原書房,2013.
三上杏平,エッセンシャルオイル総覧 改訂版,フレグランスジャーナル社,2010.
小倉謙,植物の事典 ,東京堂出版,昭和32年.
大橋信夫,メディカルハーブの事典 ,東京堂出版,2016年.
ワンダ・セラー, アロマテラピーのための84の精油, フレグランスジャーナル社,1992.
日本アロマ環境協会, AEAJアロマテラピー検定 公式テキスト1級・2級,世界文化社,1999.
ロバート・ティスランド/ロドニー・ヤング, 精油の安全性ガイド, フレグランスジャーナル社, 2018.
バーグ文子, アロマテラピー精油辞典, 成美堂出版, 2022.
アネルズあづさ, 香りを楽しむ 特徴がわかる アロマ図鑑, ナツメ社, 2023.
International Fragrance Association, Citronellal, 2020.
International Fragrance Association, Citronellol, 2020.
協力
山本香料株式会社