• シャムアンソクコウノキ
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シャムアンソクコウノキ

  • 学名
    Styrax tonkinensis
  • 科目
    エゴノキ科
  • 主な産地
    インドシナ、タイ、インドネシア、ラオスなど

植物の特徴

アンソクコウノキは、エゴノキ科の高木で、高さ20mほどまで育ちます。樹幹に切り口をつけると、強い芳香をもった粘性のある赤茶色の樹脂、安息香(ベンゾイン)を産出します。古くから呼吸器のトラブルに使用されてきたといわれ、安息する効果があるとのことから「安息香」と名付けられたともされますが諸説あります。ベンゾインシャムと呼ばれるものは、砕けやすく、また大きさや色もまちまちなのが特長です、商品がシャムを経由して輸出されたことでこのように呼ばれるようになりました。商品グレードはいろいろで、高グレード品は香気が優れており、スマトラ産のベンゾインはグレードが5種類ほどあるといわれています。最高級品の“Almond”gradeは白色、またはクリーム色の砕けやすい塊で、非常に強い香りがするといわれており、グレードが落ちるほど色は黒褐色になるといわれています。

歴史的背景

ベンゾインは、薫香として長く使われてきた歴史を持ち、宗教儀式で悪霊を追い払うための魔除けや、香水の原料としても使用されていました。また、別名を「安息香」というように、古くから呼吸器に働いて痰を取り、呼吸を楽にしてくれる薬草としても扱われていたそうです。
ヨーロッパではエリザベス朝時代からフライヤーズ・バルサム(ベンゾインのチンキ)や、バージンミルク(ローション)の名で知られ、19世紀のヨーロッパでは化粧品、薬、香料として多く使用されていたそうです。
ベンゾインは香りが長くとどまるとして「保留剤」としても使用されます。また、防腐剤として食品や化粧品に使用される「安息香酸」の名は、このベンゾインに由来しています。

精油の構成成分

安息香(ベンゾイン)
  • 安息香(ベンゾイン)

  • 全成分名称
    シャムアンソクコウノキ樹脂エキス
  • INCI
    Styrax Tonkinensis Resin Extract
  • 使用部位
    樹脂
  • 抽出方法
    溶剤抽出法
  • 採油率
    98%
  • ノート
    ベース
  • 香りの系統
    レジン

安息香(ベンゾイン) 精油の特徴

樹脂から溶剤抽出によって得られる精油は98%前後で、褐色~橙褐色を帯びた色をしています。安息香酸、バニリンが主な成分で、香りはずっしりとした甘いバニラと蜜のような豊潤な香りに、レジン特有の樹脂っぽさを持ち合わせた、深みのある香りです。やや粘度のあるテクスチャーが特長です。爽やかなシトラス系のレモンやオレンジスイート、深い豊潤な香りを持つフローラルなイランイランやジャスミン、ローズといったしっかりとした強さを持つ精油とも相性が良いです。香りはニュートラルな強さですが、ブレンドの際は他の精油のバランスや、ベンゾインの香りを壊さないようにバランスをみながら入れていくことがおすすめです。

安息香(ベンゾイン) おすすめブレンド

ベンゾイン10%:1滴
スイートオレンジ:3滴
イランイラン10%:1滴

濃厚な甘さのあるベンゾインに、柔らかく温かなスイートオレンジと華やかなイランイランを重ねることで、甘美なシトラスオリエンタルな香調に。
※ベンゾインとイランイランは希少かつ香りの強い精油のため、10%希釈し使用しています。

※室内芳香用のレシピです
※直接肌に塗布しないでください

精油の構成成分

精油の構成成分

※ロット分析データの一例を記載

  • Benzoic acid 60.7%
  • Vanillin 8.2%
  • Benzyl benzoate 3.7%
  • other components 27.5%

構成成分の効果・効能・作用

バニリン

Vanillin

バニリン
  • IUPAC名
    4-hydroxy-3-methoxybenzaldehyde
  • 分子式
    C8H8O3
  • 分子量
    152.15 g/mol
  • CAS No.
    121-33-5
  • 分類
    芳香族(アルデヒド類)

バニリンの効果・効能・作用

in slico in vitro ex vivo in vivo
Non-clinical Clinical
Mice Rats Guinea Pigs Insects Rabbits Human
Anti-bacterial and Anti-biofilm Effects ○
Appetite-enhancing Effects ○
Analgesic Effects ○
Anti-depressant Effects ○

抗菌・抗バイオフィルム (Anti-bacterial and Anti-biofilm Effects)

大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌など複数の細菌に対して、抗菌作用を示すことが報告されました。1)また、表皮ブドウ球菌に対して、バイオフィルム形成阻害作用があることが報告されました。2)

食欲増進 (Appetite-enhancing Effects)

マウスにおいて、バニリンの吸入により摂食量が増加することが報告されました。3)

鎮痛 (Analgesic Effects)

疼痛モデルマウスに対して、バニリンの吸入によって痛みの感受性が低下することが報告されました。4)

抗うつ (Anti-depressant Effects)

マウスにおいて、バニリンの吸入により抑うつ行動が減少することが報告されました。5)

  • 1) Orlo E et al., Foods 10, 2021
  • 2) Minich A et al., International Journal of Molecular Sciences 23, 2022
  • 3) Ogawa et al., Journal of Natural Medicines 72, 2018
  • 4) Ueno et al., Biomedicine & Pharmacotherap 115, 2019
  • 5) Ogawa et al., Biological and Pharmaceutical Bulletin 47, 2024

IFRA規制

安息香酸ベンジル:
皮膚感作や全身毒性を生じる可能性があるため、最終製品での配合制限があります。

安息香酸ベンジル

※構成成分の規制は、成分の一部を記載

参考文献
ジェニー・ハーディング,精油・植物油ハンドブック,東京堂出版,2010.
大槻真一郎/尾崎由紀子,ハーブ学名語源事典,東京堂出版,2009.
ジェニー・ハーディング,ハーブ図鑑,産調出版,2012.
フレディ・ゴズラン/グザビエ・フェルナンデス,調香師が語る香料植物の図鑑,原書房,2013.
三上杏平,エッセンシャルオイル総覧 改訂版,フレグランスジャーナル社,2010.
小倉謙,植物の事典 ,東京堂出版,昭和32年.
大橋信夫,メディカルハーブの事典 ,東京堂出版,2016年.
ワンダ・セラー, アロマテラピーのための84の精油, フレグランスジャーナル社,1992.
日本アロマ環境協会, AEAJアロマテラピー検定 公式テキスト1級・2級,世界文化社,1999.
ロバート・ティスランド/ロドニー・ヤング, 精油の安全性ガイド, フレグランスジャーナル社, 2018.
バーグ文子, アロマテラピー精油辞典, 成美堂出版, 2022.
アネルズあづさ, 香りを楽しむ 特徴がわかる アロマ図鑑, ナツメ社, 2023.
佐々木薫,最新4訂版アロマテラピー図鑑,主婦の友社,2019
潤いのある暮らし研究会,私の暮らしに優しく香る100種類のエッセンシャルオイル,自由国民社,2024
協力
山本香料株式会社