参考文献
- 是沢 儀明、熱帯農業、1959 年 3 巻 1 号 p. 23-28
- 是沢 儀明、熱帯農業、1960 年 3 巻 4 号 p. 176-183
THREEホリスティックリサーチセンターでは、植物や心・からだ・肌にまつわるホリスティックな力を日々探究しています。
今回は、ローズゼラニウムの葉の状態と精油に関する情報を紹介します。
ローズゼラニウム(Pelargonium graveolens)はフウロソウ科の多年草で、葉は春菊のような独特な形状をしており、ピンク色の花を咲かせます。ゼラニウムと呼ばれる植物には種類がいくつも存在しますが、精油に使用されているのはこのローズゼラニウムと呼ばれる種が一般的です。精油はバラのような濃厚で芳醇な甘さと、グリーン調の落ち着きを持った香りで、重たすぎず、優しく包み込んでくれるような印象を持ちます。
ローズゼラニウムは夏の暖かい時期に大きく成長し、葉を増やしていきます。夏の元気な緑色の葉の表面を電子顕微鏡で拡大すると、滑らかな表面の丸い球が観察できます。これは腺鱗(せんりん)と呼ばれる構造で、この中に精油が貯蔵されています。一方、秋~冬に差し掛かってくると役目(※)を終えて黄色くなった葉が増えてきますが、このような葉の表面を拡大すると、腺鱗がしわしわの状態になっている様子が見えます。
※役目 たとえば、光合成により養分をつくるなど
これらの葉をそれぞれ蒸留して精油を抽出してみたところ、黄色い葉からはほとんど精油が採れませんでした。また、そこから得られた精油は緑色の葉から得られたものと比較して甘さや爽やかさが抜けた香りになりました。
精油の採油率が時期や温度により変化することはこれまでも報告されており、野菜や果物と同じようにローズゼラニウムの精油の抽出や香りにも旬があることが伺えます。香り豊かな精油を抽出するには、適切な時期に植物を収穫することも重要な要素といえそうです。