研究トピックス
2023.10.03

睡眠について

HRCでは、植物やこころ・からだ・肌にまつわるホリスティクな力を日々探究しています。今回は、睡眠に関する基礎情報について紹介します。

  • 睡眠はなぜ大事?

    わたしたちは心身の休息のために睡眠をとります。また、睡眠を取らずに過ごそうとしても、何日か経つと限界が来てしまいます。これはわたしたち人間や動物が生きるためには睡眠が不可欠だからです。睡眠不足になると恒常性維持や免疫系に異常が生じ、体調不良や記憶障害、集中力の低下などが起こります。

    また、逆に睡眠を取ることで記憶力、集中力、知的能力などの向上が期待できます。暗記できる量が増えたり、スポーツや楽器などが飛躍的に上達したりする現象も睡眠のおかげと言えます。

  • 睡眠サイクルとノンレム睡眠とレム睡眠の役割

    入眠するとまず「ノンレム睡眠」という段階に入った後に「レム睡眠」に入り、睡眠中この二種類の睡眠が繰り返されます。これを「睡眠サイクル」といいます。

    ノンレム睡眠は脳と身体の休息に大事な睡眠であり、交感神経の機能が低下し、副交感神経の機能が高まります。これに対しレム睡眠は脳が活発に活動しており、交感神経、副交感神経ともに大きく変動します。記憶の整理が行われ、脈絡のない夢をみますが、この時に急速に眼球が動くことからレム(Rapid Eye Movement)睡眠の名がつけられました。

    睡眠について
  • 睡眠と起床に関わる脳内物質

    睡眠と起床の制御には多くの生理活性物質が関与しますが、その代表的な脳内物質を紹介します。

    ・メラトニン、セロトニン

    睡眠に導くことで有名なホルモンがメラトニンです。目から入る光により分泌が抑制されるため、昼間は少なく、夜に多くなり、眠気を誘います。セロトニンと呼ばれるホルモンから合成されますが、セロトニンは逆に起床を促す方向に働きます。

    ・オレキシン

    私たちの多くは昼間に連続して活動をし、夜になると眠りに入ります。この昼間の覚醒状態を維持するために重要な物質がオレキシンという神経物質の一つです。オレキシンが働かなくなると、重要な場面や緊張しているはずの場面でも眠くなってしまいます。

    これ以外にもアセチルコリンやコルチゾールなど多くの物質が、睡眠に関与しています。

    睡眠について
  • 睡眠と肌の関係

    朝起床し、夜眠るという一日の生活リズムを生み出す仕組みをサーカディアンリズムと呼び、上記セロトニンやメラトニン、オレキシンなどのホルモンの働きにより調節されています。一方、このサーカディアンリズムに合わせて分泌されるホルモンもあります。成長ホルモン(GH)は睡眠中、特にノンレム睡眠で多く分泌されます1)。この物質は肌において皮膚形成の様々な段階で重要とされており、GH量低下と皮膚老化の関連も示唆されています2)

    つまり、しっかりと深い睡眠をとることで健康な肌を維持できることが期待されます。

参考文献

1) Takahashi et al., Growth hormone secretion during sleep, The journal of clinical investigation, 1968
2) Tanriverdi et al., Unusual effects of GH deficiency in adults: a review about the effects of GH on skin, sleep, and coagulation, Endocrine, 2014
3) 櫻井武、睡眠の科学、講談社、2023
4) 睡眠の科学知識、ニュートンプレス、2023