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研究成果
2025.12.22

精油の香りはこうして生まれるーVol.2 植物の生育環境と香気成分の関係ー

HRCでは、精油のホリスティックな力や個性を日々探究しています。
THREEハーブガーデンではさまざまな植物を栽培し、THREEオリジナルの精油を抽出し、研究しています。今回は、精油の香気成分がどのような要因で変化するのか2本立てでご紹介します。Vol. 2では、生育環境の要素の一つである気候に着目しています。

  • 香りの個性

    同じ植物でも香りの印象が違うと感じたことはありませんか?
    植物は気温や日照、土壌などの外部環境の影響を受けながら成長します。その過程でつくり出す香りは植物が生き抜くための重要な要素の一つです。これは外敵から身を守るために放出されたり、受粉を助けるために昆虫を誘引したりと、さまざまな役割を担っています。また、精油に含まれる香り成分は、産地や植物の生育段階、土壌環境によっても変化することが知られています。

    精油の香りはこうして生まれるーVol.2 植物の生育環境と香気成分の関係ー
  • 苗の定植から収穫、蒸留まで

    生育環境の要素の一つである気候に着目し、熊本県南阿蘇村で2024年4月に定植したゼラニウム(Pelargonium graveolens)を対象に、約3ヶ月後の7月、さらに3ヶ月後の10月の2回にわけて収穫・蒸留を行いました。
    この期間の気候は例年よりも気温が高めで、特に7月〜9月は30℃を超える日が多く、8月は最高気温も最低気温も非常に高温の傾向がみられました(図1)。

    精油の香りはこうして生まれるーVol.2 植物の生育環境と香気成分の関係ー
    精油の香りはこうして生まれるーVol.2 植物の生育環境と香気成分の関係ー

     

    図1. 2024年4月から10月の南阿蘇の気温

    出典:気象庁 南阿蘇(熊本県) 2024年の気象データより改変

  • 香気成分の比較

    7月および10月に蒸留した精油は、超高速 GCシステム(Alpha MOS社製フラッシュGCノーズ Heracles II)を用いて分析を実施し、成分はクロマトグラムの各ピークの保持時間から同定(GC-MSにより別途マススペクトルも確認)し、得られたピーク面積を比較しました。なお、面積は内部標準物質に対する相対面積(%)として示しました。
    7種類の主要香気成分を比較したところ(図2)、シトロネロールは7月収穫の精油の方が多いのに対し、ゲラニオールは10月収穫の精油の方が多いことがわかりました。シトロネロールはフレッシュなフローラル感のある香りが特長であり、ゲラニオールは甘さのある芳醇なバラのような香りが特長です。
    実際に、7月に収穫した精油と10月に収穫した精油とでは、香りの印象にも違いがみられ、この香りの違いは夏の日差しを浴びた香りと秋の深まりを感じさせる香りともいえるかもしれません。

    精油の香りはこうして生まれるーVol.2 植物の生育環境と香気成分の関係ー

     

    図2. 収穫時期の異なるゼラニウム精油の主要香気成分比較

    試験方法:各精油サンプルについて超高速Cシステムを用いて成分分析をし、7種類の主要香気成分のピーク面積値を比較した。
    出典:THREE ホリスティックリサーチセンター調べ

  • 精油の香気特性を個性として

    今回、収穫時期に着目して生育環境が及ぼす香りへの影響について調査した結果、ゼラニウム畑で感じる香りが季節によって変わるように、そこから得られる精油の香気成分にも違いがあることがわかりました。
    収穫時期や地域によって異なる香気成分や機能の違いを探り、その個性を見出すことが、さらなる価値に繋がります。