Tips 秋におすすめのアロマブレンドのレシピ
◆秋の夜長に。心温まる穏やかな香りでリラックス
・ラベンダー 2
・ベンゾイン 1
・マンダリン 2
リラックスを深めるラベンダーとマンダリンに、バニラに似た甘さのあるベンゾイン(安息香)をブレンド。
ふんわりと温もりのある香りで、心身の緊張やイライラを鎮めてくれます。
スキンケアやフレグランスなど、私たちの身の回りのアイテムによく使われている精油(エッセンシャルオイル)。香りで身も心も癒してくれるホリスティックアイテム、となんとなく認識しているものの、特徴や効果について深く知らない人は多いのではないでしょうか。このコラムでは、精油をよく知る二人のセラピストをゲストに迎え、魅力や取り入れ方のコツを紹介していきます。
前編では、1から10まで自分で全て説明ができる情報だけを発信するようにしていると話していた小田ゆきさん。精油の原料が育つルーツまで深く学ぶために農学校にも通っています。小瓶に表記されている情報だけではなく、その先の環境まで意識を向ける小田さんが実際に取り入れている精油とは……。
アロマとメディカルハーブのスペシャリスト。
1986年生まれ。岡山県出身。
日本女子大学英文学科卒業後、ヤフー株式会社で勤務ののち、2014年に退社。
在職中からアロマテラピーやメディカルハーブを本格的に学び、2016年2月よりアロマを楽しむWebマガジン「AROMA LIFESTYLE」、2019年よりYouTubeチャンネル「Aroma & Wellness Life」をスタート。2023年現在で、登録者数2.2万人を超える。
精油とは、そもそも動けない植物が外敵から身を守ったり子孫を残すための武器のひとつとして作り出していると考えられています。ですので、精油の原料となる植物が育つ環境も大事だと考えています。やはり人の手が加えられていない、できる限り自然の状態に近い環境で育った植物から抽出された精油には、より本来の植物の生命力が反映されていると思うんです。
その通りです。例えばゼラニウムひとつを取ってみても、ハウス栽培で育ったものと野生の路面で育ったものとを比較すると、後者の方が圧倒的に香りが濃く、複雑な印象があるんですよね。植物の生命力を生かしていくのがアロマテラピーなので、私自身も、できるだけ自然に近い環境で育った植物から採れたものを選ぶようにしています。
※写真:さとやま農学校にて
精油と出会ってから約10年が経ちますが、まだまだ学ぶことだらけ。精油の専門誌を定期購読したり、登録したキーワードの最新情報を自動的に届けてくれる「Googleアラート」の機能を活用して、常に精油にまつわる最新のリリース情報を集めています。
まず、気持ちの切り替えに欠かせません。ずっと自宅で作業をしているので、オンとオフの区別を付けづらいのですが、例えばローズマリーやペパーミント精油をデスク周りに一滴垂らすと、「さっきまでやる気のなかった自分はどこへ行ったの?!」というくらいやる気がみなぎってくるんです。
大事なイベント前などに気分を盛り上げたり、緊張を落ち着かせるためのツールとして精油を使うこともありますよ。私の心のお守りはベルガモットの香り。大事な時にはいつもハンカチに一滴垂らして持っていきます。基本的には単体で使うことが多いですが、用途や使用シーンに合わせてブレンドしてルームフレグランスやルームミストを作ることもあります。
私がブレンドする時に大事にしているのは、何のために精油を使いたいのか、その目的をはっきりさせること。どんな気持ちになりたいのか、どんなシーンに取り入れたいのかを具体的にイメージするようにしています。
精油選びに迷ったら、効能などの情報を見るのではなく、そのときに精油の香りを嗅いでみて直感的に「いい匂い!」と感じるものを選んでみてください。その時の体調や心の状態(例えば女性ならホルモン周期の影響)のほか、時間帯や季節によっても自分が心地よいと感じる香りは変わってきます。香りを感じる嗅覚は本能にダイレクトに作用するので、その時に心地よいと感じる香りが、今の自分が最も必要としている香りと言えるのです。
精油は花や葉、果皮など植物ごとに特有の部位から抽出されますが、不思議なことに、その部位ごとの役割がそこから得られる精油の香りや効能に関連していることが多いので、精油の「抽出部位」に注目してみるのも面白いです。例えばフランキンセンスのような樹脂から採れる精油。樹脂とは木の幹から出た樹液が固まったもので、その役割を一言で表すと「かさぶた」です。幹の傷を癒し、虫や病気から守る働きがありますが、同じように樹脂から採れる精油は消毒作用や傷を癒す作用があることで知られているので、乾燥肌や加齢肌のケアやハンドケアなど美容によく用いられます。
植物では生殖器の役割をする花から取れる精油は女性のホルモンバランスをサポートしてくれるものが多いですし、光合成や呼吸に関わる葉っぱから採れる精油は呼吸器系に作用すると言われています。シダーウッドやサンダルウッドのような木の幹から採れる精油は、木の幹には植物を支える背骨のような役割がある通り、精神安定に役立つものが多いです。また、木の幹は水分や栄養分の通り道。根から吸い上げた水や栄養を枝葉に届ける運搬路でもあるので、リンパや血液の流れなど、体の巡りに働きかけてくれるものもたくさんあります。
「種類が多すぎて何を選んだらいいかわからない…」「精油ひとつひとつの効能を覚えるのが大変…」というお声をよく耳にしますが、精油の原料となる植物の部位とセットにしてみるとわかりやすいし、自分の悩みに合わせて選びやすくなると思います。
私は秋になるとローズを手に取ることが多いです。爽やかなミントや柑橘系の香りが心地よいと感じる夏に比べて、秋はより重みのある香りが心地よいと感じてくるはず。ローズは初夏に取れるお花ですが、繊細で奥深い香りが秋にぴったり。スキンケアとしてベースオイルなどに混ぜて使うこともあります。他には、バニラのような甘い香りが特徴のベンゾインもおすすめです。「安息香」という別名の通り、呼吸が深まるような穏やかな香りで季節の変わり目で揺らぐ心に安らぎをもたらしてくれると思います。
個人的には精油の原料となる植物そのものに関する知識を深めていきたいと思っており、原料となる植物が育つ土地の環境や文化をもっと知るべく、原産地を巡る旅をしたいと思っています。精油はまだ癒しの一つとしてしか認識していない人も多いと思うので、適切に取り入れることで精油の恩恵を受けられるということを一人でも多くの人に伝えていきたいです。
◆秋の夜長に。心温まる穏やかな香りでリラックス
・ラベンダー 2
・ベンゾイン 1
・マンダリン 2
リラックスを深めるラベンダーとマンダリンに、バニラに似た甘さのあるベンゾイン(安息香)をブレンド。
ふんわりと温もりのある香りで、心身の緊張やイライラを鎮めてくれます。
edit&interview 野沢愛也子(FIUME Inc.)
photo 植田翔、他