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自然の恵みと人の想いが織りなす、南阿蘇のハーブづくり ー南阿蘇で「本物の香り」を生み出す 。ーVol.3
コラム
2023.08.01

自然の恵みと人の想いが織りなす、南阿蘇のハーブづくり
ー南阿蘇で「本物の香り」を生み出す 。ーVol.3

私たちの生活に「あるといいな」と思うことの一つに、自分好みのいい香りや、安心して口にできるものがあることが一つ挙げられると思います。熊本県にある『クマモト敬和』は自社栽培の南阿蘇産ハーブを中心に、世界中から厳選したハーブ・野草の原料を取り扱い、ハーブティーや精油の製造に取り組んでいる会社です。このコラムでは、THREEが『クマモト敬和』と取り組む、南阿蘇でのハーブ作りやこだわりについてご紹介します。

宮野敬之(みやののりゆき)
Profile 宮野敬之(みやののりゆき)

『株式会社クマモト敬和』代表取締役社長。個人で製茶の販売を始め、2007年に法人化し『クマモト敬和』をスタート。翌年には法人化農業生産法人株式会社南阿蘇農園を設立。その後、販売店『南阿蘇TEAHOUSE』を全国各地に展開している。

自社栽培の南阿蘇産ハーブを使ったお茶やハーブティーなどを作るティーカンパニー『クマモト敬和』。創業した経緯やきっかけなどを教えてください。

今でこそハーブティーをベースに会社を知ってもらうことが増えましたが、始まりは普通の“お茶”からなんです。元々私の父はお茶の小売業をやっていました。しかし私が30歳の頃に経営が困難になり、私は脱サラして父の仕事を手伝うことにしたんです。結局、父を手伝って3年が経った頃に廃業してしまいましたが、お茶の仕事は面白そうだったので続けようと思ったんです。その頃「健康茶」という存在に出会い、どうにか自分たちで生産ができないかと考え、挑戦してみることにしました。

健康茶ですか。今の商品の系統とずいぶん違うので驚きました。

以前催事で東京や大阪に伺ってた際、都会の方ではニーズがありそうだったんです。 それからすぐに野草の勉強を始め、野草の本を買って隅々まで読み耽りました。知識を得た後は、実際に野草を採りに山に入ったり、市場で購入して、自分なりの健康茶を作ってみたりしました。ただ、これが美味しくなくって(笑)。当時流通していた野草茶は苦味やエグみが強く「美味しくない」イメージだったので、美味しくなくては売れるわけがないと、味の追及に没頭しました。結果的に出来上がった24種類の野草を使った野草茶は「飲みやすく美味しい」と自分も胸を張って言えるもので、その商品ひとつで全国各地に営業に出向くことができました。野草茶が評判になったことで事業が軌道に乗り、人を雇うことになり、2007年に法人化しました。

熊本や南阿蘇の魅力や思いなどをお聞かせください。

熊本は生まれ育った場所でもあるし、当たり前のように自然が溢れていて、恵まれた環境にいるんだなとつくづく思います。健康茶をメインに販売をしていた時、「阿蘇の毒出し健康茶」という商品名で売り出していたんです。昔から“阿蘇”というワードは全国の人に刺さっていたのを感じていました 。その当時から「いつか工場を建てるなら阿蘇だな」なんて野望を抱いていました。阿蘇の中でも南阿蘇という地域は、空気と水の綺麗さは一級品。 あとは風景ですかね。夕暮れどきの郷愁をそそる光景は、何度見てもグッとくるものがあります。

自然の恵みと人の想いが織りなす、南阿蘇のハーブづくり ー南阿蘇で「本物の香り」を生み出す 。ーVol.3

南阿蘇の景色は、感動的なものですよね。そんな素晴らしい場所でハーブを栽培、収穫、蒸留と一貫した生産をされていると思いますが、挑戦しようと思われたのはなぜですか?

私たちの手元で農薬を使わずに安心安全なものを作りたいという思いに尽きます。「本物」を作っているところと手を取り合うのは簡単ですが、ゼロから「良いものを作っていく」という意識が弊社で働く人に伝わり、消費者の信頼にも繋がっているのだと思います。

ハーブを収穫直後に選別・カット・乾燥等の加工を行うことで、鮮度が高く一番良い状態の香りを閉じ込めることができます。すべての工程を一貫することで、他にはない香り高いハーブになるんです。さらにそこから蒸留へと挑戦を繋げ、一貫したものづくりを叶えることができました。

自然の恵みと人の想いが織りなす、南阿蘇のハーブづくり ー南阿蘇で「本物の香り」を生み出す 。ーVol.3
自然の恵みと人の想いが織りなす、南阿蘇のハーブづくり ー南阿蘇で「本物の香り」を生み出す 。ーVol.3

「一番いい状態の香り」と聞くだけで、とても惹かれます。他社で育てているハーブと違いを出すために取り組んでいる事はありますか?

栽培種類が多いことがひとつ挙げられます。8種類に加えて、試験栽培も含めて現在11種類を育てています。レモングラス、ペパーミント、カモミールジャーマン、スペアミント、カモミールローマン、ステビア、ローズゼラニウム、ホーリーバジル、エルダフラワー、ラベンダー、ローズマリーです。どれも南阿蘇の気候や環境に合ったものです。

国内でハーブを生産から加工販売まで一貫している会社があまりないので、比べることが少し難しいんですね。大きく違うのは、一般的なハーブ園は野ざらし状態で多品種少量栽培のところが多いと思います。また、土づくり・苗作りから栽培・収穫までを人の手でやるのが大きな違いです。

土台作りから人の手でされてるんですね。土づくりでこだわっていることはありますか?

自然由来の力を引き出す土づくりをする“EM農法”を採用しています。乳酸菌や酵母などの自然界にいる微生物を組み合わせた善玉菌を利用して健康な土づくりをすることで、農薬や化学肥料を使わずに強いハーブなどを作ることができるんです。米や野菜と違って、ハーブ栽培をやっている人が少ないので、土づくりも栽培も「とにかくやってみる」精神でここまできています。

現在参画されている熊本県が推進するUXプロジェクトについて、きっかけや取り組んでいる内容などを教えてください。

UXプロジェクトは、『世界中の人々が、自分らしく最期まで「健康で」「楽しく」「美しく」いられる生活』を実現するための新たなビジネスプロジェクトで、熊本県産業支援課からお声がけいただきました。ちょうどコロナでハーブティーの販売も厳しい時期だったので、これからの産業ということであればぜひ色々なものを作ってみたいと思い参画させていただきました。このプロジェクトを通して、ハーブのフレッシュな状態の香りを全国にお届けするものを作り、同時に南阿蘇の地域の人を巻き込んだ形での農業の活性化を望んでいます。プロジェクトの一環で、昨年よりTHREEと化粧品原料の同時開発に取り組んでいるところです。今後、THREEの商品に、共同で作った精油が使われ、世界中の人に使っていただけることを望んでいます。

自然の恵みと人の想いが織りなす、南阿蘇のハーブづくり ー南阿蘇で「本物の香り」を生み出す 。ーVol.3

最後に、ハーブを通して全国に届けたい思いや願いはありますか?

これだけ綺麗な地下水が潤沢にあり整備されているところは、世界中でそんなにないんですよ。100%の湧水で育てる無農薬のハーブを世界に発信して、こんなに素晴らしい香りがあることをひとりでも多くの人に届けたいですね。

いずれは、南阿蘇の恵まれた環境で育てるハーブをみんなに体験してもらえる場所を作りたいなと思っています。「南阿蘇=いい香り」というイメージを定着させて、南阿蘇がハーブの本場と言われる未来を作っていきたいです。

私の好きなハーブ

Tips 私の好きなハーブ

ペパーミントが好きです。日本人だと歯磨き粉やガムのイメージが非常に強いんですが、ヨーロッパの方ではペパーミントティーは好まれていて需要が高いんです。自社で育てたペパーミントは今まで感じたことのない爽やかさで驚いた記憶があります。また、グリーンアップルのような香りのカモミールジャーマンもとても好きですね。

edit&interview 大塚淑子
photo 大塚淑子、他