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自然の恵みと人の想いが織りなす、南阿蘇のハーブづくり ー思い描くハーブの色と香りを求めて。ーVol.2
コラム
2023.07.03

自然の恵みと人の想いが織りなす、南阿蘇のハーブづくり
ー思い描くハーブの色と香りを求めて。ーVol.2

私たちの生活に「あるといいな」と思うことの一つに、自分好みのいい香りや、安心して口にできるものがあることが一つ挙げられると思います。熊本県にある『クマモト敬和』は自社栽培の南阿蘇産ハーブを中心に、世界中から厳選したハーブ・野草の原料を取り扱い、ハーブティーや精油の製造に取り組んでいる会社です。このコラムでは、THREEが『クマモト敬和』と取り組む、南阿蘇でのハーブ作りやこだわりについてご紹介します。

工藤蘭(くどうらん)
Profile 工藤蘭(くどうらん)

『株式会社クマモト敬和』マーチャンダイザー/ブレンダー。商品の企画・開発や商品構成の決定、販売・サービスの計画立案などに関わる。

『クマモト敬和』でマーチャンダイザーとブレンダーとして働かれている工藤さん。まず、どのような会社か教えてください。

農薬や化学肥料に頼らない、自然の力を生かしたハーブ栽培に取り組んでいます。自社栽培の南阿蘇で育てたハーブ、世界中から取り寄せたハーブ・野草の原料を取り扱い、自社オリジナルのハーブティーやOEM商品の開発を行っています。南阿蘇では気候的に栽培できないハーブもありますので、卸先企業からいただくさまざまなご要望をもとに、世界のハーブも取り入れながらオリジナルのブレンドもしています。「本物へのこだわり」「良いものを作っていく」という意識を高く持ち続け、生産から製造、流通販売まで幅広く事業展開し商品をお客様へお届けしています。

原料の生産から販売まで一貫して行われてるんですね。工藤さんの現在の仕事内容を教えてください。

ひと言でいうと“何でも屋”みたいになっているかもしれません。自社ブランドの監修、取材や記事掲載についての内容確認や問い合わせ対応、原価の計算と販売価格の算出、栽培スケジュールの管理、農作業フォロー、ブレンダーとしてのハーブ配合や蒸留まで……。挙げてみればきりがありませんが、とにかく多くのことを担当しています。農作業は全くの未経験でしたが、昨年から農業のやり方を教えてもらいながら、除草作業を手伝ったりもしています。

ブレンダーというだけでもすごいのに、本当にいろいろなことをされていますね。そんな中、農業をやってみていかがでしたか?

農業は正直言って大変ですね。だけどキツイことばかりじゃありません。例えばカモミールジャーマンの収穫は、スタッフ総出で手作業で行うんですが、景色の良さとカモミールの香りが風で運ばれてくるので、とてもリラックスした気持ちになれるんです。

自然の恵みと人の想いが織りなす、南阿蘇のハーブづくり ー思い描くハーブの色と香りを求めて。ーVol.2

南阿蘇の雄大な景色はみんなを癒してくれそうですね。工藤さんが『クマモト敬和』で働く上で感じるやりがいはどんなものでしょう。

実は初めは製造スタッフのアルバイトで入社したんです。次第にさまざまな経験をさせてもらい、出来ることも増えてきました。なかでも、企業から問い合わせをいただく際、自分なりの提案で良い方向に進めることが出来たときは、特にやりがいを感じますね。

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日々さまざまな種類の仕事をする上で、どんなことを大切にしていますか?

営業に関しては、先方の希望を伺いつつ「自分たちに出来ることは何か」を考え、真摯に取り組むことですね。希望通りにできそうにない場合もあるのですが、可能な限り希望に近づけるために考え抜きます。ハーブのブレンドや商品デザインに関しても同様ではあるのですが、その季節やイメージに合わせた色や香り、味、デザインが、はたして商品イメージに合っているか、「心から納得がいくものを作る」ということも大切にしています。私自身が心配性ということもあるのですが、自分が納得しないと前に進めない性格なんですよ。でもその性格のおかげで「間違いない」というハーブブレンドに行き着くことができ、最終的にやりがいにも繋がっています。

自然の恵みと人の想いが織りなす、南阿蘇のハーブづくり ー思い描くハーブの色と香りを求めて。ーVol.2

そのこだわりが商品に活かされてるんですね。ハーブをブレンドする時に大事にしていることや気をつけていることはありますか?

季節や環境によって、心や体がどのように変化しているのかを調査し、心身を良い方向に整えることができるハーブを使用し、ハーブティーの色・香り・味を調整しています。イメージに合う色や香りが出来上がったとしても、味がちょっと……ということもあるため、納得のいくブレンドにたどり着けないときは一旦その作業から離れます。このプロセスを手を抜かずに大切にすることで、お客様にホッとしていただけたり、喜んでいただけるのだと思います。

ハーブティーの色の調整、とても難しそうだなと思うのですが、どのようにされてるのでしょうか?

はじめに合いそうなハーブでブレンドし、色合いを見て、もう少し変えたいと思えばその色に近づけるハーブを入れたり、量を変えたりと地道な試行錯誤です。これがすごく難しいんですよ。すぐに理想の色が出来上がるわけではないので、どうしても納得いかないときは、味の調整と同じように、一旦作業をやめて数日後に再チャレンジしています。

自社栽培の南阿蘇産ハーブの他、海外産のハーブも取り寄せているのですよね。南阿蘇で育つハーブと他の場所で育つハーブとの違いはありますか?

自社農園でこだわり抜いて栽培したハーブの美味しさをより追求するため、福岡女子大学と共同研究に取り組んでいるんです。研究の結果、南阿蘇で育つハーブは海外産ハーブよりも、リモネンやミルセン、シネオールが多く含まれているものや、精油の場合は、ゲラニアールやネラール、ピネンやテルピネオールが多く含まれているものがあることが分かりました。香りに関しては、におい強度が強いハーブが確認されていて、生育環境や加工過程において香気成分が失われにくいと推察されています。ハーブティーに最も重要な「香気成分の比較研究」に今後も取り組んでいく予定です。

実際に研究結果が出ていると、信頼と安心感に繋がりますよね。こちらで育てているハーブの種類や個性などがありましたら教えてください。

レモングラス、ローズゼラニウム、カモミールなど、約8種類を自社で育てています。他と違う個性と聞かれると明確には言えないのですが、「レモングラスの香りがとても良かった」とお客さまから仰っていただくことが何度かありました。そういったお客さまのお声を受けて「もっとしっかり伝えたい」と思い、研究に至ったんです。違いを知ることで、これまで「いい香りですよ」とだけお伝えしていたところを、「この成分が多く含まれているからいい香りなんです」と、より解像度の高い説明ができるようになったんです。今後も、ハーブの特徴を活かした商品作りに取り組み、クオリティーの向上に励んでいきたいです。

自然の恵みと人の想いが織りなす、南阿蘇のハーブづくり ー思い描くハーブの色と香りを求めて。ーVol.2

最後に、今後どのような商品を生み出していきたいかなどありましたらお聞かせください。

カフェに行く時も、自宅でお茶を飲む時も、ハーブティーはまだ主要な選択肢にはなっていないと思うんです。人々の日常の暮らしの中に「ハーブティーを飲む」という選択肢を持っていただけるような商品を今後も作っていきたいです。

夏におすすめのハーブティー

Tips 夏におすすめのハーブティー

日差しが強い夏は、夏バテになる人も多いかと思います。そんな時、ペパーミントやスペアミントなどのミント系のハーブティーは、スッキリとした香りと口当たりでおすすめです。冷やしてアイスティーにするのもいいですね。

edit&interview 大塚淑子
photo 大塚淑子、他