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自然の恵みと人の想いが織りなす、南阿蘇のハーブづくり ーこだわりのハーブを、南阿蘇から。ー Vol.1
コラム
2023.06.01

自然の恵みと人の想いが織りなす、南阿蘇のハーブづくり
ーこだわりのハーブを、南阿蘇から。ーVol.1

私たちの生活に「あるといいな」と思うことの一つに、自分好みのいい香りや、安心して口にできるものがあることが一つ挙げられると思います。熊本県にある『クマモト敬和』は自社栽培の南阿蘇産ハーブを中心に、世界中から厳選したハーブ・野草の原料を取り扱い、ハーブティーや精油の製造に取り組んでいる会社です。このコラムでは、THREEが『クマモト敬和』と取り組む、南阿蘇でのハーブ作りやこだわりについてご紹介します。

高浜毅(たかはまたけし)
Profile 高浜毅(たかはまたけし)

25年続けていた自営業から一転、5年前に現在の会社『農業生産法人 株式会社 南阿蘇農園』に転職。

『南阿蘇農園』で無農薬のハーブ作りに取り組まれている高浜さん。現在の仕事内容を教えてください。

『南阿蘇農園』は『株式会社クマモト敬和』の子会社として、平成22年に設立された農業生産法人です。有機JASの認定の圃場で無農薬のハーブを育てています。わたしはここで農園の管理をしています。現在は今年新しく増えた圃場も含めて、南阿蘇に5箇所ある畑を見ています。宮野社長とともに年間の栽培計画を立てたり、寒暖差や自然災害の対策、日々の土壌作りなど、「管理」とひとことで言っても、仕事内容は多岐に渡ります。
※注釈 圃場(ほじょう):農地、農園、畑 のこと。

南阿蘇は朝晩の冷え込みが激しい地域かと思いますが、苦労されていることはないですか?

その通りです!特に南阿蘇は冬の寒さが厳しいので、特に冬越しというのがすごく気を使う部分で、油断すると育てているハーブがあっという間に霜でやられてしまいます。例えば今年はビニールハウスの中がマイナス9.8度まで下がってしまいました。ビニールハウスの中の温度がそうなると、おそらく外はマイナス2桁だったんじゃないでしょうか。なので、寒波の予報が出たときにしっかりとした寒さ対策を前もってしておかないといけません。そして寒さが厳しい年は必ず4月に遅霜が来ます。そこを超えないと本格的な暖かい季節にはならないので、寒さとの戦いは思いのほか長いんですよ。

仕事をする上でのやりがいや大切にしていることは何ですか?

相手が植物や土と言っても同じ「生き物」なので、人が手をかけた分きちんと成長しますし、その反面ちょっと気を抜いたらうまくいかないんです。ほったらかしにせず、できるだけ現場(畑)を見るということを大切にしています。現在進行中の現場は子どものようなものなので、大きな寒暖差で一気にやられてしまわないよう、気を抜かずに日々管理を怠らないということに尽きますね。南阿蘇の場合、最低気温が長い間上がって来ないので、春はずっとソワソワしています。自分の子ども以上に気にかけているかもしれません(笑)

自然の恵みと人の想いが織りなす、南阿蘇のハーブづくり ーこだわりのハーブを、南阿蘇から。ー Vol.1

南阿蘇で農業という自然と近い中で活動することで感じる、この土地や豊かさはどのようなところにあると感じますか?

南阿蘇で農業をしていていちばん豊かだと感じることは、美しくて豊富な水の存在です。この水は、人と自然が一緒に創っているものなんですよ。阿蘇の山々は広大な草原で覆われていて木々が少ないんですが、それは何百年も前から「野焼き」という方法で草原を人が守り続けてきたからなんです。「野焼き」は、木々に水が吸い上げられることなく、地下に豊富な水を蓄えるための大きな役割を担っているんです。そのため、熊本地震の際も水には困らなかったと聞いています。この水のおかげで南阿蘇の農業というのは非常に豊かになっていると思いますよ。

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なるほど。南阿蘇は日本名水百選や平成の名水百選に選ばれている、計11カ所もの水源を有していますもんね。「水の生まれる里」と呼ばれるのも納得です。南阿蘇の人の印象はいかがですか?

南阿蘇の人はみんな近所のおじいちゃんおばあちゃんみたいな感じですね。知らない人でも通りすがる人にはにこっと挨拶したりできるんです。田舎の当たり前の日常が南阿蘇にはちゃんと残っている感じをとても誇りに思います。

自然の恵みと人の想いが織りなす、南阿蘇のハーブづくり ーこだわりのハーブを、南阿蘇から。ー Vol.1

現在育てているハーブは何種類ほどありますか?

メインで育てているローズゼラニウムをはじめ、カモミール、レモングラス、ペパーミント、スペアミント、ローズマリー、ラベンダー、ステビアの8種類です。そこに加えて試験栽培のハーブもたまにありますよ。

ここで育つハーブと他の場所のハーブの違いはあるのでしょうか?

ハッキリとした違いは言えませんが、例えばローズゼラニウムを精油にした時の香りがものすごく強かったんですよ。その理由は水なのか圃場なのかとあれこれ考えはするのですが、やはり南阿蘇の温度の高低差や冬の長さというのが、香りを強くする要因の一つではないかと個人的には考えています。

香り高いローズゼラニウム、かなり気になります。そういったハーブを育てる際のこだわりはありますか?

この農園で一番大事にしているのが、土壌作りです。除草剤や殺菌剤・殺虫剤といった薬を一切使わず完全に自然の力を借りて行うことを一番大事にしています。なので、すごく地味ではありますが、とにかく草取りをする、という事が一番力を入れている工程でありこだわりでもあると言えます。そんな中、今勉強をしていることもあります。レモングラスを育てているときに、隣にヨモギが生えてくるんですが、ヨモギで除草剤を作れるという話があるんです。無農薬という制限をプラスにして、可能性をたくさん探っていきたいと思っています。

自然の恵みと人の想いが織りなす、南阿蘇のハーブづくり ーこだわりのハーブを、南阿蘇から。ー Vol.1

今後の展望などあればお聞かせください。

自然の力で育てたハーブが一番安全だと思うんですよね。ただ、そのためには人の力が不可欠。努力を怠らず、安心安全をより多くの人に届けていけたらと思ってます。安全なハーブである理由は、簡単ですが自分と大事な人の体のため、そしてこれからの人たちのためですね。

初心者におすすめのハーブ

Tips 初心者におすすめのハーブ

初心者でも育てやすいハーブのひとつにカモミールがあります。カモミールはかわいい小さな白い花が特徴。乾燥に強い事もあり、常に水やりをする必要がありません。屋内外問わず育てることが出来るので、ハーブをはじめてみたい方におすすめです。

edit&interview 大塚淑子
photo 大塚淑子、他