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ニュースリリース
2025.08.08

THREEホリスティックリサーチセンター、福岡女子大学と共同で芳香成分間の相乗効果による抗酸化活性を学会発表

ポーラ・オルビスグループの株式会社ACRO(本社:東京都品川区、社長:宮﨑稔章)内のTHREE ホリスティックリサーチセンターは、公立大学法人 福岡女子大学国際文理学部の石川洋哉教授らと共同で、タイム精油に含まれるチモール、カルバクロール、γ-テルピネンの相乗効果がタイム精油の抗酸化活性に寄与することを明らかにしました。

本取組の背景

THREEでは、自治体や企業と協業しオリジナルの国産精油を開発し、香りや機能性の評価による新たな付加価値の創出に取り組んでいます。
芳香植物からとれる精油は、同一種でも生育環境が異なることで香りや機能性等の違いといった「個性」が生まれると考えています。抗酸化活性は精油の機能的価値のひとつであり、食品分野にとどまらず、皮膚科学やウェルネスの領域での応用が期待されています。

研究成果

(1)タイム精油の芳香成分の同定、抗酸化活性評価

タイム精油の芳香成分は超高速GC(Alpha MOS社製フラッシュGCノーズ Heracles II)を用いて分析を行い、成分はクロマトグラムの各ピークの保持時間から同定(GC-MSにより別途マススペクトルも確認)しました。

同定された芳香成分γ-テルピネン、チモール、カルバクロールの抗酸化活性についてDPPHラジカル消去法を用いて評価を行いました(図1)。

図1. 芳香成分の抗酸化活性
図1. 芳香成分の抗酸化活性

試験方法:
DPPHラジカル消去活性測定法を用いて、各芳香成分添加時のラジカル阻害率(ラジカル消去率)を評価した。(n=3, 平均値)
阻害率(%)は、Ac:コントロールの吸光度、As:試料添加時の吸光度とし、以下の式より算出した。
阻害率(%)=(Ac-As)/Ac×100

(2)芳香成分の相互作用

芳香成分2種類併用時の抗酸化活性を評価し、Median effect analysisにより算出されたcombination index(CI)により相互作用を判定しました(CI>1:相殺、CI=1:相加、CI<1:相乗)。効果解析の結果、チモールとγ-テルピネン、カルバクロールとγ-テルピネンの併用効果解析において、相乗効果を発現する比率があることが確認されました。
この結果から、タイム精油の抗酸化活性にはγ-テルピネンとチモール、γ-テルピネンとカルバクロールの相互作用が寄与している可能性が示唆されました。

今後の展開

この研究結果は、精油を構成する芳香成分はその複雑な香りを生み出しているだけではなく、機能性においても相乗効果発現の一因になっている可能性が示唆され、精油の普及に繋がる発見であると考えています。これらの知見を生かし、今後も精油の持つホリスティックな魅力を探求し、製品開発に活かしていきます。

学術発表情報

大会名: 日本農芸化学会2025年度大会
会期: 2025 年 03月 04日~ 08日
場所: 札幌コンベンションセンター
演題名: 「各種ハーブ精油の抗酸化能評価とその併用による相互作用」
発表者: 〇林真綺1、村橋千宙1、佐井賢太郎3、金澤由紀3、丸石優紀1、小林弘司1,2、石川洋哉1,2
(福岡女子大学院人間環境科学1、福岡女子大学国際文理2、株式会社ACRO3)

大会名: 第62回化学関連支部合同九州大会
会期: 2025 年 07月 05日
場所: 北九州国際会議場
演題名: 「各種ハーブ精油成分のDPPHラジカル消去能評価と併用効果解析」
発表者: 〇林真綺1、村橋千宙1、金澤由紀3、佐井賢太郎3、丸石優紀1、石川洋哉1,2
(福岡女子大学院人間環境科学1、福岡女子大学国際文理2、株式会社ACRO3)

  • 「THREE ホリスティック リサーチセンター」について

    「精油」をはじめとする植物から得られる恵みと心・からだ・肌の関係を探求し、地域社会との取り組みを通じた新たな価値を創出・発信することを目的に2022 年 09月 02日 ACRO内に設立しました。
    人の在り方にとどまらず、環境や社会の在り方も踏まえた半歩先の価値を創出・発信することで、「THREE」のさらなる進化に向けた重要な役割を担っていきます。

  • ブランドについて

    THREE

    「心・からだ・肌」のすべてに、ホリスティックにアプローチするTHREE。
    スキンケア・ヘアケア・ボディケアには、精油をはじめとする天然の植物成分をふんだんに使用し、心地よさと効果を追求。
    メイクアップでは、モードとナチュラルが生みだすニューベーシックを表現。
    自然と調和し、その人らしい美しさを最大限に引き出すホリスティックケアとメイクアップを、一人ひとりが心地よさで満たされるように発信します。

  • 公立大学法人 福岡女子大学

    本学は、福岡県立女子専門学校として大正12年(1923年)に開校しました。これは女子の高等教育を使命とした、全国で初の公立女子専門学校です。創立100年の歴史と伝統をもち、14,000名を超える卒業生は各方面で活躍し、広く社会に貢献しています。平成23年(2011年)には「国際文理学部」に改組し、国境を越えた幅広い分野で活躍できる「次代の女性リーダー育成」に力を注いでいます。

    国際文理学部 食・健康学科 食品学研究室(教授 石川洋哉)

    本研究室では、「おいしさ」と「健康」にかかわる食品の機能を、分析化学的に評価する研究を行っています。特に、「におい・香り」分析では、におい嗅ぎGC/MS、アルファ・モス社製超高速GCシステムを活用して、様々な食品の香り評価や異臭成分の分析等を幅広く展開しています。食品の抗酸化活性評価では、複数手法を用いて食品・天然物の抗酸化活性の評価を多面的に検討しています。他大学、研究機関との連携研究も活発に行っています。