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消費者調査
2024.09.19

消費者の意識実態調査 (女性特有の健康課題やフェムケアとしての香り)

HRCでは、植物のホリスティックな可能性、消費者の意識・実態に関する探究をしています。
今回は、女性特有の健康課題に対する意識や不調の実態、フェムケアとしての香りについて調査しました。

  • 若者ほど高まるフェムケアへの関心。10代で約5割⁉

    「フェムケア」とは女性の健康や体のケアに焦点を当てた製品やサービスを指しています。
    近年、女性ホルモンの状況がライフステージごとに劇的に変化するという女性特有の健康に関して、厚生労働省では毎年3月1日~8日を「女性の健康週間」とし健康づくりに向けた運動を展開したり(1)、また自治体から情報発信の場が設けられたり(2)(3)、様々な支援が推進されています。女性特有の健康課題は経済損失に繋がると考えられており、「フェムケア」はその解決に繋がると期待されています。

    そこで女性特有の健康課題に対する意識実態について調査したところ、世代別の関心度や対策の実態が明らかとなりました。
    「フェムケア」への関心についての調査ですが、全体では「関心がある」「やや関心がある」を合わせて31.8%ですが、年代別にみてみると、10代では53.9%と関心度が高く、若い世代ほど関心度が高くなる傾向が明らかとなりました(図1)。さらにフェムケアを知ったきっかけとして最も高いのは「SNS」の43.0%であり、SNSやインターネットが様々な情報を拡大・共有する役割を担っていることが伺えます(表1)。

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    図1. フェムケアに対する関心度。左:全体、右:年代別

    表1. フェムケアを知ったきっかけ

    消費者の意識実態調査 (女性特有の健康課題やフェムケアとしての香り)
  • 女性の約7割が女性特有の心・からだの不調を経験。上位の不調・悩みにも半数が対策を取れていない

    ホルモンバランスや年齢の変化で起こる心・からだの不調について調査したところ、約7割が何らかの女性特有の不調を経験しており、1位は「ストレスを感じやすい」で26.8%、次いで「疲れがとれない・だるい」が23.8%と続きます(図2)。不調に対する対策についてですが、「疲れがとれない・だるい」と回答した方の約半数の49.5%が対策をしておらず、最も多い対策は「チョコレート(甘いもの)」の26.1%でした(図3)。3位の「コーヒー」の香りにはリラックス効果があることが報告されており(4)、気づかないうちに香りの機能を取り入れている方もいるのかもしれません。
    「腹痛」に対しては「市販薬」37.0%、「処方薬」19.8%、「漢方薬」14.8%と続き、痛みを伴うような不調には薬で対処している一方で、精神的な不調に対しては香りなど身近なものでサポートしていることが明らかになりました。

    ちなみに不調の対策としてエッセンシャルオイル(精油)を取り入れていると回答した人は、10%以下という結果でした。

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    図2. ホルモンバランスの乱れや年齢の変化で起こる心・からだの不調

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    図3. 心・からだの不調に対する対策

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    図4. エッセンシャルオイル(精油)を取り入れることに対する意識

    エッセンシャルオイル(精油)の機能に期待

    エッセンシャルオイル(精油)に期待される機能を伝えた上でその利用について調査したところ、実に76.8%が「取り入れてみたい」と回答しています。女性特有の心やからだの不調に対するエッセンシャルオイル(精油)の利用は少ないものの、関心や期待は高まりつつあることが伺える結果となりました。
    女性特有の不調と香りの研究としては、PMS(月経前症候群)の症状であるイライラや倦怠感、更年期症状に対する香りのリラックス効果やリフレッシュ効果について報告されています。(5)(6)

    フェムケアを知るきっかけのアンケート結果からもわかるように、SNSやインターネットを通じてさまざまな香りの機能に触れる機会が増えることはエッセンシャルオイル(精油)の利用拡大に繋がるかもしれません。

  • 香りを意識して自分と向き合う時間に

    エッセンシャルオイル(精油)を不調改善やフェムケアに取り入れるには、「使い続けるのが難しそう」「価格が高い」という声が多くみられ、新たに日常生活に取り入れることはまだまだハードルが高いようですが、ちょっとした意識づけでより健やかな毎日を送ることができます。

    わたしたちは日々多くの香りの中で過ごしていますが、香りの感じ方は体調や気分によって変化するといわれています。
    コーヒーやお茶を飲む前、外を歩いている時、入浴剤を入れたお風呂に入っている時に香りに意識を向けてみてください。日常の中で香りを意識することで、香りの感じ方の違いから自分自身の体調や気分の変化に気づきやすくなります。香りに意識を向け、セルフケアの一助にしてみてはいかがでしょうか。

参考文献

(1) 厚生労働省 女性の健康づくり https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/woman/index.html
(2) 女性の健康推進室ヘルスケアラボ https://w-health.jp/
(3) 東京都 働く女性のウェルネス向上委員会 https://women-wellness.metro.tokyo.lg.jp/
(4) 林ら、日本栄養・食糧学会誌, 2011
(5) T Matsumoto et al., biopsychosocial medicine, 2013
(6) 藤本ら, 横浜看護学雑誌, 2021